𝟐𝟐 ページ22
ぽっかり、心に、穴があいてしまった。
「…Aちゃん？」
「ぁ、」
「大丈夫？ぼーっとしてたけど具合悪い？向井くんが呼んでたよ！」
お昼ご飯の誘いじゃない？
そんな風に声をかけてくれたのは、仲良くなったクラスメイトの子。
「…そうかも、ありがとう声掛けてくれて」
「うん！いってらっしゃい〜」
手を振ってくれる友達に手を振り返して、お弁当箱を持って教室のドア付近で待つ向井くんのところへ向かう。
「ごめん、ぼーっとしてた」
「Aちゃんのことだからそんなことだろうと思ってたわ〜、はよ美術室行こ！」
あべちゃんもてる兄もまってるで〜と言う向井くんに笑みがこぼれた。
あ、
「…今日、って、目黒くん、は」
「めめ？……今日は部活でおらんよ、大丈夫」
あれから、クラスメイトのほとんどと和解して、目黒くんや向井くんのおかげで色んな先輩と仲良くなることができた。今では、目黒くん向井くんあべちゃん先輩岩本先輩とお昼ご飯を一緒に食べることが日課だ。………だけど、
このままだとわたしは目黒くんに依存してしまうのがわかりきっている。そんな状態で目黒くんとうまく話せる気がしなくて、最近はあまり話さないようにしていた。そのことに薄々気づいてるのか、向井くんはなるべく目黒くんとわたしを深く接触させないように気を使っていてくれた。
「今日のAちゃんままの弁当も美味しいんやろな〜」
「向井くん、わたしが大好きだって知ってるのに卵焼きとるからやだ！」
岩本先輩にちくるよ、なんていうと、てる兄怒らせたらあかん！ダメや！とぶーぶー言い出す。
美術室について、ドアを開けると、あべちゃん先輩と岩本先輩が手を振ってくる。
「こんにちは、Aちゃん、こーじ」
「Aもこーじも遅い〜」
岩本先輩は、お腹がすいているみたいで、わたし達が少し遅くなってしまったことに拗ねている。
「先食べててもよかったのに…」
「ふふ、照がね、Aちゃんのこと待ちたかったんだって」
「っ！おい阿部！余計なこと言うなって」
「てる兄は甘党な友達できて嬉しいんよな！」
「こーじもうるさい！！」
てる兄に怒られた！と向井くんはしゅんとしてしまった。
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作者名：もりの | 作成日時：2024年4月4日 21時
